動画制作に向けた企画書の作り方完全ガイド【初心者向け】
- 株式会社CROSS BEE VISION
- 5月22日
- 読了時間: 14分

▶︎1. 動画制作における企画書の役割

1.1 なぜ動画制作に企画書が必要なのか
動画制作を進めるうえで、企画書は全体の方向性を示す設計図のような役割を果たします。
撮影や編集といった制作工程に入る前に、誰に何をどう伝えるかを明確にすることで、無駄な作業を減らし、納品までの流れがスムーズになります。
特に関係者が複数いる場合、情報共有が不十分だと後戻りの作業が発生しやすくなります。 その結果、スケジュールの遅延や予算のオーバーに繋がることも。
企画書があると、関係者全員が同じ方向を向いて動けるため、やり直しや認識違いが減ります。
たとえば以下のような場面では、企画書の有無で効率に大きな差が出ます。
初回の打ち合わせで「何をつくるか」が明確になる
複数の案を比較検討する際に判断がしやすい
社内承認を得る際に資料としてそのまま使える
つまり、動画の内容だけでなく、その制作プロセス全体を整理し見える化するのが企画書の役割なのです。
1.2 企画書があることで得られる3つのメリット
企画書があることで得られる主なメリットは、次の3点です。
伝えたい内容がブレない
事前にコンセプトやターゲットを明確にすることで、途中で内容がブレるのを防げます。撮影後に「やっぱり違った」となると、大きな手戻りが発生するため要注意です。
スケジュールとコストを管理しやすくなる
絵コンテや尺の目安があると、どのくらいの工数がかかるか見積もりやすくなります。無計画に始めてしまうと、予算も時間も膨らみがちです。
社内や関係者との合意形成がスムーズ
上司や他部署に説明する際も、企画書があれば具体的なイメージを共有できます。会話だけでの説明よりも、資料があることで理解が深まります。
忙しい中でも確実に成果を出すためには、しっかりとした企画書が欠かせません。
動画制作は手間もコストもかかるからこそ、最初の段階で全体像を共有できるかどうかが、成功のカギを握ります。
▶︎2. 動画制作前に企画書で整理すべきこと

2.1 目的と伝えたいメッセージの明確化
動画の企画書をつくるうえで、まずやるべきことは「なぜその動画を作るのか」をハッキリさせることです。 これはシンプルなようで意外と曖昧になりがちです。
例えば、
認知拡大
商品理解の促進
社内教育の効率化
など目的はさまざまですが、ここが曖昧だと全体の構成やトーンがブレやすくなります。
目的に応じて「どんなメッセージを誰に届けたいか」が変わるため、ここを具体化しておくことが大事です。
よくある失敗としては以下のようなケースがあります。
①「なんとなく今っぽい動画をつくりたい」とだけ決まっている
②社内で目的の認識がバラバラ
③メッセージが複数あって焦点が定まらない
こうした失敗を防ぐためには、「この動画を見る人に、何を持ち帰ってもらいたいのか」を1つのフレーズで言い切れるまで言語化しておくと効果的です。
2.2 ターゲット像の可視化とその重要性
目的と並んで大切なのが「誰に向けた動画なのか」を明確にすることです。
ここで言うターゲットは「20代の女性」などの属性にとどまりません。
どんな悩みを持っていて、どんな言葉に反応しやすいか、といった“行動心理”まで考慮することが重要です。
たとえば、次のような項目を整理しておくと、ターゲットが可視化しやすくなります。
年齢層・性別・職業などの属性
普段どんな媒体を見ているか(スマホ?PC?SNS?)
抱えている課題や関心ごと
どんな情報に信頼を感じるか
この情報があるだけで、トーンや表現方法、媒体の選定にも一貫性が出ます。
失敗しやすい例としては、
①誰に向けた動画かわからないまま制作が進む
②想定よりも再生数が伸びず、刺さっていないことに後で気づく
③全体の演出や表現がチグハグになる
といったパターンがあります。
ペルソナ設定を具体的にすることで、企画全体のクオリティが安定します。
2.3 配信方法や尺などの基本方針の決定
企画段階で意外と見落とされがちなのが、「どこで流すか」と「どのくらいの長さにするか」といった配信設計です。 動画の企画内容がよくても、配信の条件と合っていないと、効果は半減してしまいます。
たとえば、
SNSでの配信を前提にするなら、15〜60秒程度が最適
展示会や営業用なら、2〜3分で製品の魅力が伝わる構成
Webサイトに常設するなら、冒頭15秒で惹きつける工夫が必要
といったように、用途によって構成や長さを変える必要があります。
ここが曖昧なまま進めてしまうと、
①「長すぎて見てもらえない」
②「SNSでカットされた」「掲載先の仕様に合っていなかった」
③「最後まで見てもらえず効果が出なかった」
という事態にもつながります。
動画の配信媒体と再生時間の設計は、最初の段階でしっかり固めておくべきポイントです。
▶︎3. 動画制作に必要な企画書の構成要素

3.1 企画概要と背景情報
企画書の冒頭では、動画を制作する背景と目的を端的にまとめた「企画概要」を記載します。
ここで全体像をつかんでもらえるようにすることが、読み手の理解を深める第一歩です。
企画概要に盛り込むべき主なポイントは以下の通りです。
どんな経緯で企画が立ち上がったのか
現状の課題や課題感
この動画を通じて期待している成果
たとえば、「新商品を認知させたい」「採用活動で学生への印象を良くしたい」など、目的に直結する背景を簡潔に書きます。
背景情報が不足していると、読み手が全体の意図を理解できず、合意形成が難しくなります。
よくある失敗例
①「今期の施策の一環」など曖昧な記述
②背景がなく、いきなり施策の話に入ってしまう
③関係者が納得できず、何度も説明の手間が発生
まずは全体の導入として、共通理解を生むための情報を丁寧にまとめることが大事です。
3.2 ターゲットと訴求ポイント
ターゲット設定と、そのターゲットにどんな魅力を伝えるか(訴求ポイント)の整理は、企画の成否を大きく左右します。
企画書では、以下のような情報を組み合わせて整理しておくと効果的です。
ターゲットの属性(年齢・性別・職業など)
そのターゲットが抱える課題や関心ごと
刺さりやすい表現やキーワード
さらに、「この層に対してこの内容を伝えたい」という構造が明確になると、関係者間のイメージも統一されます。
「誰に、何を、どのように伝えるか」を一貫して企画全体に反映させることが重要です。
失敗しがちなパターン
①漠然と「若年層」などと記載してしまう
②社内の好みや感覚だけで訴求ポイントを決める
③訴求が複数あり、結局どれもぼやけてしまう
具体的なターゲット像と訴求軸があれば、動画の構成もスムーズに設計できます。
3.3 メインメッセージと表現トーン
メインメッセージは、動画全体を通して伝えたい“核”となる内容です。
ここが明確であれば、構成・ナレーション・ビジュアルすべてがブレなくなります。
また、そのメッセージをどんな雰囲気・口調・ビジュアルトーンで伝えるかも企画書で定めておくと安心です。
表現トーンの例
信頼感を重視する「落ち着いた・誠実なトーン」
若年層向けの「カジュアル・テンポ重視」
高級感を演出する「静かで上品な印象」
同じ内容でも、トーンの違いで受け手の印象は大きく変わります。
失敗例としては、
①メッセージが複数あり、どれが軸かわからない
②表現トーンが曖昧で、制作チームとズレが生じる
③演出とナレーションの雰囲気が一致していない
強い印象を残すためにも、メインメッセージとトーンをセットで定義しておくことが大切です。
3.4 活用チャネルと目的との整合性
どこで・誰に・どんなタイミングで届けるかは、動画の活用成果を左右する要素です。 配信チャネルの選定は、目的との整合性を持たせて企画書に明記しておく必要があります。
主な配信チャネルと活用シーン
配信チャネル | 主な活用シーン |
YouTube | 幅広い認知・検索経由の流入狙い |
SNS広告 | 短尺・インパクト重視で若年層へ訴求 |
Webサイト内 | 滞在時間UP・コンバージョン支援 |
展示会・営業ツール | リアル接点での印象付けや補足説明 |
活用チャネルによって必要な長さや構成も変わるため、前もって企画書で方向性を共有することが大切です。
よくある問題点
①SNS用なのに尺が長すぎる
②配信先の仕様に合わせて作られていない
③どこで使うかが明記されておらず、効果測定しにくい
目的とチャネルが合っていないと、せっかくの動画も十分に活かされません。
3.5 大まかなスケジュールと予算感
企画書の最後にあると役立つのが、全体のスケジュール感と予算の目安です。 これがあると、関係者が現実的な計画をもとに意思決定しやすくなります。
最低限盛り込んでおきたい内容
制作開始から納品までの大まかなスケジュール
撮影や編集にかかる期間の見積もり
ざっくりとした予算レンジ(例:30〜50万円 など)
予算や納期の目安がないと、確認作業が増えて進行が滞りやすくなります。
よくあるトラブル例
①「今月中に」と曖昧な表現だけ記載
②予算の記載がなく、社内調整でモメる
③見積もり段階で大きくズレが出る
初期段階でのスケジュール・予算のすり合わせが、後工程の混乱を防ぎます。
▶︎4. 企画書作りでよくある失敗とその回避法
4.1 目的がふんわりしてしまう
企画書の中でもっとも多い失敗の一つが、目的が曖昧なまま進んでしまうことです。
たとえば、「ブランディングのため」「とりあえず動画を活用したい」といった記述では、方向性が不明確で関係者の理解も分かれます。
よくある失敗例
①目的が抽象的すぎて、関係者の解釈がバラバラになる
②途中で内容が変わり、編集や構成が何度もやり直しになる
③成果指標が決められず、効果検証ができない
目的が具体的でないと、動画の企画全体がブレてしまいます。
【回避策】
「誰に、何を、どのように届けて、どんな行動を起こしてもらいたいか」まで落とし込みましょう。たとえば「製品認知を広げ、資料請求を促す」といったように、最終的なゴールまで明記することが大切です。
4.2 ターゲットが絞れていない
ターゲットの設定が甘いと、メッセージや構成が中途半端になります。 「誰に伝えるか」が定まっていないと、響かない動画になりがちです。
失敗しがちなパターン
①「幅広い層に向けて」という曖昧な表現
②想定視聴者の悩みや行動心理まで落とし込めていない
③訴求内容が浅くなり、印象に残らない
【回避策】
ペルソナ設定を行い、「30代男性・営業職・情報収集はYouTube中心」など、具体的に想像できるところまで落とし込みましょう。共感できる視点をもった動画は、視聴者の反応も得やすくなります。
4.3 予算とスケジュールの曖昧さ
企画書に予算とスケジュールがきちんと記載されていないと、後のトラブルの原因になります。
よくある失敗例
①「できるだけ早く」や「できるだけ安く」といった曖昧な表現
②納期が社内と制作側で食い違っている
③追加費用が発生し、調整に時間がかかる
【回避策】
ざっくりでもいいので、「納品希望日」や「予算レンジ(例:30〜50万円)」を記載しておきましょう。制作会社とのすり合わせもスムーズになり、後からのトラブルを避けやすくなります。
「あらかじめ言っておけばよかった…」という後悔を減らせます。
4.4 表現だけに偏った内容になる
「かっこいい映像を作りたい」「インパクトを出したい」など、演出やデザインばかりに目が向いてしまうのもありがちなミスです。
失敗例
①見た目だけ重視し、伝えたい内容がぼやけてしまう
②メッセージよりもビジュアル先行で企画が進む
③視聴者に「何を伝えたかったのか」が残らない
【回避策】
コンセプトとメッセージを軸に構成を組み立て、それに合う演出を選ぶようにしましょう。演出はあくまで手段であり、目的を引き立てるためのものです。
「何を伝えるか」が先、「どう見せるか」はその後という順番を守ることがポイントです。
▶︎5. 説得力ある動画制作企画書の作り方とコツ
5.1 一貫性のある構成と流れ
説得力ある企画書には、最初から最後まで流れに一貫性があることが大切です。
「目的 → ターゲット → メッセージ → 表現方法 → 活用方針」という流れがきれいに整理されていないと、見る人は混乱してしまいます。
企画書の中で流れが崩れるよくある例
①最初に出した目的と、後半の構成が一致していない
②ターゲットに対する訴求内容が途中で変わってしまう
③活用チャネルと内容のトーンがずれている
「伝えたいこと」と「どう伝えるか」の関係性がスムーズであればあるほど、読み手は納得しやすくなります。
【コツ】
企画書の各項目を箇条書きや図表で整理し、つながりを明確に見せましょう。文章で全部を語るよりも、構成の流れを図解すると視覚的にも理解が深まります。
5.2 数字や根拠を使って信頼性アップ
動画の企画に限らず、「なんとなくこうしたい」という感覚的な提案は説得力に欠けます。
見る人が納得できるよう、数字やデータを交えて根拠を示すことがポイントです。
効果的な根拠の使い方例
類似施策の成果データ(例:平均再生回数○○件)
市場調査や視聴傾向に関するグラフ
社内アンケート結果や顧客の声
数字を使うことで、読み手は「感覚ではなく、裏付けのある判断だ」と感じやすくなります。
【注意点】
数字は多ければ良いわけではありません。「この情報がなぜ必要か」「何を伝えたいか」に絞って使うことが大事です。冗長な統計は逆効果になることもあります。
5.3 シンプルで見やすいビジュアルの工夫
どれだけ中身が優れていても、情報が詰め込まれすぎて読みにくい企画書は伝わりにくいです。
よくあるNGなケース
①文字ばかりで図表や余白がない
②ページ内に要素が詰まりすぎて目が疲れる
③色の使い方やフォントがバラバラ
視覚的に整理されているだけで、読み手の印象はぐっと良くなります。
【コツ】
見出しや項目ごとに余白を使って区切る
表や図で視覚的に訴える
色は3色以内で統一感を出す
また、1ページ1テーマにするだけでも理解しやすさがアップします。
「パッと見て理解できる」構成にすることが、伝わる企画書のカギです。
5.4 フィードバックをもとに改善する姿勢
どれだけ丁寧に企画書を作っても、初稿の段階では「伝わらない部分」が出てくるのが普通です。
だからこそ、一度作って終わりにせず、関係者の声をもとに改善していく姿勢が大切です。
フィードバックを受けるときのポイント
①あえて「改善点はありますか?」と聞く
②複数の立場から意見をもらう(制作者、営業、現場など)
③意見が割れる部分は目的に立ち返って判断する
良い企画書は「作り込み」ではなく「ブラッシュアップ」で仕上がっていくものです。
また、過去に使用した企画書の振り返りを行うと、自社に合った改善点が見えてきます。毎回ゼロから考えるのではなく、PDCAを意識した作成フローにするのがおすすめです。
▶︎6. まとめ:動画制作の企画書を仕上げるポイント
動画制作における企画書は、単なる準備資料ではなく、制作の質と成果を左右する「土台」となるものです。 内容が明確であればあるほど、関係者の連携がスムーズになり、制作後の修正やトラブルも最小限に抑えられます。
本記事では、動画企画書の作成において重要なポイントを段階的に解説してきました。改めて、押さえておくべき要点を整理しましょう。
■企画書作成で押さえるべき5つの視点
目的とメッセージを明確にする
伝えたい内容が定まれば、表現方法もブレずに済みます。
ターゲットの人物像を具体化する
年齢や属性だけでなく、行動傾向や悩みまで掘り下げて整理することで、響く企画に仕上がります。
媒体や尺などの基本方針を初期段階で決めておく
活用シーンに応じた長さや構成は、成果を大きく左右します。
構成に一貫性を持たせ、視覚的にもわかりやすく
流れの通ったレイアウトやシンプルな図表で、説得力をアップさせましょう。
関係者からのフィードバックを取り入れてブラッシュアップ
客観的な視点を取り入れることで、より伝わる企画書になります。
企画書は「見せるため」だけでなく、「一緒に動くため」のツールです。
忙しい現場でもすぐに伝わり、すぐに動ける。そんな状態をつくるためにも、最初の設計で手を抜かないことが、結果として制作全体の効率と成果を高めることに繋がります。
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